2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

エドヴァルド・ムンクの「Mind Tree」(3)- ドストエフスキーとイプセンの影響。魂を「腑分け」した絵。カンヴァスはなく漁ってきた厚紙に描いていた

簡易な電話装置を自前でつくる。「木工」好きで父の薦めで工業技術専門学校に入学していた ▶(2)からの続き 19世紀後半、産業革命がノルウェーにも押し寄せて来ていました。この頃ノルウェーは経済不況下にあり多くの労働者が職を失っていたため、父は少年…

ジェームズ・ディーンの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)-相当に慌てた「できちゃった結婚」から生まれたジミー。玄関のポーチを舞台に、母とジミーは一緒に「物語」を即興で演じた

はじめに:”怒れる若者”のシンボルのこと 映画『理由なき反抗』『エデンの東』『ジャイアンツ』で瞬く間にスターダムにのしあがり、1950年代の”文化的イコン”となったジェームズ・ディーン。ジェームズ・ディーンとは、アメリカの”怒れる若者”のシンボルであ…

ピエル・パオロ・パゾリーニの「Mind Tree」(3)- ローマで思考の原点となる下層プロレタリアートと出会う。フェリーニの『カリビアの夜』の共同執筆。映画というもう一つの「言語」を”発見”

弟の死。ファシズムから逃れカザルサで田舎の人々と深くかかわる ▶(2)からの続き:高まる映画熱の一方で、ロベルト・ロンギの講義に熱中したパゾリーニの心の内で、イタリア現代絵画(モランディ、カルロ・カッラ、デ・ピシスなど)への関心も着実に”根を…

スティーヴン・キングの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 2歳の時、掃除機セールスマンの父が忽然と姿を消す。各地を転々とし母は働き再びメイン州に

はじめに:「モダン・ホラー」という水脈を”発見”、”認識”したスティーヴン・キング スティーヴン・キングが第一人者となって開拓してきた「モダン・ホラー」の世界は、今やアメリカだけでなく、世界中に浸透し、各国の大衆に感染しているといえます。「モダ…

フランシス・ベイコンの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 軍人あがりの父は内気で繊細な息子を好かず、ジコチューの母は自分の社交に忙しい人だった

はじめに:自身に「謎(エニグマ)」をかけた20世紀美術最大の”巨匠” 自身が望んだように20世紀現代美術のなかでも最も「謎(エニグマ)」に包まれたアーティストとなったフランシス・ベイコン。その物議を醸してきた作品群にはベイコン自身がかけたヴェール…

ダライ・ラマ14世の「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 現在の中国の青海省下、小さな村の自作農家の9人目の子供として生まれる 

はじめに:転生する「ダライ・ラマ」ーマインド・ツリーは一個人だけのものではない チベットの国家的、精神的指導者であるダライ・ラマ14世については、各々知ってられるとおもいますが、その幼年期や少年期についてはなかなか知る機会はないかと思います。…

エゴン・シーレの「Mind Tree」(3)- 19歳の時、ゴッホの芸術観から”啓示”をもたらされる。少年シーレ「自画像」に目覚める。シーレが「樹木」の絵を多く描いた理由

19歳の時、ゴッホの芸術観から”啓示”をもたらされる。少年シーレ、「自画像」に向う ▶(2)からの続き:ココシュカがゴッホに魂を貫かれてから3年後。シーレも19歳の時、ウィーンで開かれた大規模な「国際美術展、ウィーン1909年」で、シーレもゴッホの作…

エゴン・シーレの「Mind Tree」(2)- 美術アカデミーへの不満と深まる鬱屈、17歳の時、クリムトに素描を見せる

美術アカデミーへの不満と深まる鬱屈、17歳の時、クリムトに素描を見せる ▶(1)からの続き:念願のウィーン美術アカデミーに入学したシーレでしたが、シーレはキャンバスに向うのではなく、ここでも旧弊な壁に向うことになります。シュトラッホ先生の師で…

マルセル・デュシャンの「Mind Tree」(3)- ジュール・マレーの高速度撮影からインスピレーション。ラブレーとジャリが、デュシャンの”神様”だった

18歳の時、「マティス」を”発見”する。セザンヌの影響のこと ▶(2)からの続き:18歳の時(1905年)、デュシャン(以降、デュシャン、あるいはM.デュシャンと表記)は、サロン・ドートンヌで「マティス」を”発見”します。赤や青でべったり塗りわけた鮮烈な…

デニス・ホッパーの「Mind Tree」(2)- 弟の喘息の悪化で西海岸へ。カリフォルニア州の演劇朗読コンテストで3度で優勝

10歳の頃、カンザスシティのプールバーで小遣い稼ぎする ▶(1)からの続き:デニスが大好きだった農場から引き剥がされた先は、カンザス州とミズーリ州にまたがる「ハート・オブ・アメリカーHeart of America/アメリカの地理的中心地」と呼ばれるカンザス…

エゴン・シーレの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- シーレ一家は「鉄道一族」の家系だった。唯一の慰みの「スケッチ」をストーブで燃やした父(母)

はじめに:エゴン・シーレがもっていた扉のような「鏡」のこと ゴッホが亡くなった1890年、ウィーン近郊のドナウ河畔に彗星のごとく降ってきた一個の孤独な魂ーエゴン・シーレ。その魂は、地球上の奇跡の花や庭の香り、鳥の啼き声を聴いた時、鳥の目に<自分…

ボブ・ディランの「Mind Tree」(2)- 英文学の教授から教えられた「放浪のバラッド」が、<自分の一部>のように感じられた

幾つもの湖を越えて探検に出、自転車競争し、ゴム鉄砲を撃ち合い、カーニヴァルをみる少年時代 ▶(1)からの続き:少年ディランを迎えいれた新たな町ヒビングは、世界一の露天掘り鉄鋼床がある鉱業都市でした。実際の住処は、ヒビングを走る鉄道線路を越え…

デニス・ホッパーの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 祖母が週一度連れていってくれた町の映画館。9歳の時、ガソリンを吸って「幻覚」を見る

はじめに:デニス・ホッパーは、”アンディ・ウォーホル”より、マルチプルだ 2010年春、前立腺癌の転移で74歳で死去した60'sカウンターカルチャーのヒーロー、デニス・ホッパー。しかしD.ホッパーをアルコールとドラッグ浸けで反体制的の破滅型シンボルと見立…

フリーダ・カーロの「Mind Tree」(3)- ”反逆的姿勢”、悪戯好き、豊富な読書、洒落や隠語もいち早く吸収。フリーダはメヒコの「ビートたけし」か

「カチュチャス」という頭脳明晰にして悪戯好きのグループに属す ▶(2)からの続き:フリーダが後に、すでにメキシコを代表する画家にして有名な漁色家で激しい性格のディエゴ・リベラとカップルになったのも、フリーダに絵の才能(の芽)と関心があったこ…

エドヴァルド・ムンクの「Mind Tree」(2)- 12歳の時、名家の名残りもなく侘しい団地アパートへ引っ越す。診療室と子供部屋は同じだった

12歳の時、みすぼらしい団地アパートへ引っ越す。5度の引っ越し。診療室と子供部屋は同じだった ▶(1)からの続き:ウィキペディアなどでムンクの生涯のはじまりを「父は医師で.....名家の生まれであった」と要約してしまうと、ムンクの魂も同じように「要…

マルセル・デュシャンの「Mind Tree」(2)- 兄がデュシャンのリアルな「師」だった。14歳、「絵」に真剣に取り組みはじめる。美術学校の入学試験は落ちる

長兄のガストン(ジャック・ヴィヨン)が、マルセルの素描の「師」だった ▶(1)からの続き:マルセルは7年間通うリセ・コルネイユで(10歳〜17歳まで)、兄たちと同じく、ルーアンの美術学校でも教えていたフィリップ・ザシャリーからいわゆる正統的な素…