2010-01-01から1年間の記事一覧

エドヴァルド・ムンクの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 父は皆をランプの下に集め北欧伝説を語り聞かせた。5歳の時、母亡くなりムンク家の調和が崩壊する

はじめに:「悪夢を克服する道」としてのムンク ミュージアム・グッズの代表格として世界中で販売されているエドワルド・ムンクの『叫び』。耳に両手をあてていることから分かるように、橋の上の男が叫んでいるのではなく、叫びに耐えかねて両耳を塞いでいる…

ボブ・ディランの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- スタンダード・オイル社の経理担当だった父の言葉は「暗号」にしか聴こえなかった

『タイム』誌のインタビュアーをやり込めるディラン はじめに:ディランの<詩>のこと 20世紀、音楽的にも文化的にも最も影響力のある人物の一人につねに選ばれるボブ・ディラン。ディランの伝記作家の一人は、ディランをモーツァルトやシェイクスピア、デ…

ブライアン・ジョーンズの「Mind Tree」(3)- 18歳の時、一時、石炭運搬人、工場労働者、赤いバスの車掌になる

14歳の女の子を妊娠させ、父に国外に放り出される ▶(2)からの続き:ブライアンが一流女子校の14歳の女の子を妊娠させた噂が、良識と体面の町チェルトナムを揺るがせました。すでに別れていた女の子も姿を消し出産に踏み切り、生まれた男の子を後に養子に…

パゾリーニの「Mind Tree」(2)- 14歳、ランボーの詩に衝撃を受ける。シェイクスピア、ドストエフスキー、トルストイに耽溺

少年時代に強くノスタルジーを感じ、「生き直そう」としていた ▶(1)からの続き:小学校高学年の10歳からからガルヴァーニ中学校時代の13歳までは都会のクレモナ(当時の人口6万人程、イタリアの中世音楽の中心地で、ヴァイオリンのストラディバリ他、楽…

ピエル・パオロ・パゾリーニの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- ファシスト軍人だった父と理想主義者だった母の間に。最初の詩作は7歳の時

はじめに サディズムとファシズムの病的極限状態で「権力」と「肉体」をえがいた『ソドムの市』(1975)を撮り終えた直後、謎の死をとげたパゾリーニ。そして公開された最後の映画から、「パゾリーニ」という名前は、つねに”スキャンダラス”に結びつけられて…

オノ・ヨーコの「Mind Tree」(2)- サラ・ローレンス大学でも「はみだし者」に。リンゴの樹の上で、独り俳句を詠みだす

**埋め込みができない映像になっていますが、映像の中央部分の「Youtube」で見る、をクリックすると、映像を見ることができます。『イマジン』の演奏中、ヨーコが「扉」を開けてゆく。このさりげない行為は重要な意味をもつ。建物の入口上に掲げられた「Th…

オノ・ヨーコの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 父・小野英輔は銀行家に転身する前、ピアニスト。母方は日本銀行界の重鎮・安田善三郎

http://www.youtube.com/watch?v=8f5SbaMMI7U 上の「サイト・アドレス」から見ることができる映像は、埋め込み不可ですが興味深い映像なので、ご覧になってみて下さい。 はじめに:「イマジン」のこと アーティストであり、ミュージシャンであり、平和活動家…

アルチュール・ランボーの「Mind Tree」(3)- 身なりは構わず、無口で、なかなか心情を吐露しない性格だったランボー

ランボーの映画「Total Eclipse(日本語タイトル:太陽と月に背いて)」(主演:レオナルド・ディカプリオ) 16歳、「詩人」である、と自覚する ▶(2)からの続き:ランボーは親友ドラエーと山を越え、森を突っきってベルギーとの国境を越えてみたりします…

ブライアン・ジョーンズの「Mind Tree」(2)- 10代のはじめ「変化」が生じる。学校設立以来、初めての「知的な反抗児」といわれる

どんな管楽器でも「耳」と「勘」だけでものにすることができるようになる ▶(1)からの続き:母からピアノを習いはじめた6歳の時、今度は学校の音楽教師のもとでもピアノのレッスンを受けるようになります。すでに母から楽譜の読み方を習っていたので、音…

マルセル・デュシャンの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 誕生後、「女の子」として3歳すぎまで育てられる。芸術に入れこんだ義父のデュシャン家への影響

はじめに:何か別のものへの「窓」-「大ガラス」 20世紀美術は、マルセル・デュシャンがいなかったら、その展開はおおきく「遅延」したか、コンテンポラリー・アートの展示品の前で観客はあまり悩まなくてすんだことでしょう。すでに20世紀初頭、美術館は巨…

ジミ・ヘンドリックスの「Mind Tree」(3)- 「電気」に興味を持ちラジオを分解したジミ。後に「エフェクター」を多用した理由

「電気」に興味を持ちラジオを分解したジミ。エレキ・ギターを欲しがる ▶(2)からの続き:ジミは、エレキギターを知る以前から「電気」に興味を持っていたようです。まだ幼い頃、家にあったラジオを、なかがどうなっているのか仕組みを知りたかったため、…

デビッド・クローネンバーグの「Mind Tree」(2)- 科学を専攻した大学の1年の時、自分は<アウトサイダー>だと感じた

両親は反宗教的。高校で初めて自身のユダヤ性を意識する ▶(1)からの続き:高校時代に初めてといっていいほど、自分がユダヤ人であることを意識したといいます。ハーボード高校は驚く程ユダヤ人が多く、ユダヤ教の祝日になると5人程しか生徒が登校しない…

ブライアン・ジョーンズの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 6歳、母からピアノを習いはじめる。少年期にでき上がった「耳」と型破りな遊び感覚

バンドリーダーだった頃のブライアン・ジョーンズの覇気ある姿 はじめに ローリング・ストーンズを語る時、つねに陰のように語り継がれるもう一人のミュージシャンがいます。それが「ザ・ローリング・ストーンズ」の命名者であり、バンドの創始者であり、バ…

ジェイムズ・キャメロンの「Mind Tree」(3)- 海洋生物学から物理学へ、ついで英文学に専攻を変える。22歳、ウエイトレスに熱をあげ結婚。トラック運転手に

15歳の時、キャメロンが17回も観た「2001年宇宙の旅」のシーンより カレッジで海洋生物学を専攻。ついで物理学へシフトするも断念 ▶(2)からの続き:キャメロンはフラートンカレッジで海洋生物学を専攻し1年勉強しています。けれども海洋生物学では卒業後…

キース・リチャーズの「Mind Tree」(3)- 少年期、アメリカの西部劇、カウボーイに憧れる。図書館でアメリカについての本をよく借りる

5歳の時、小学校でマイケル・フィリップ・ジャガーとはじめての出会い ▶(2)からの続き:5歳の時、キースはウェントワース小学校に通いはじめます。そこに同級生として通っていたのがマイケル・フィリップ・ジャガーでした。キースとミック・ジャガーと…

デビッド・クローネンバーグの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 少年期、アウトサイダーになる要素は何もない理解ある家庭環境だった

はじめに:クローネンバーグのケースにみるもの 映画界の中でSFホラーのジャンルの鬼才として知られるデビッド・クローネンバーグの「マインド・ツリー(心の樹)」を知ることはかなり興味深いものを覚えることになります。クローネンバーグは、メジャーの商…

オノ・ヨーコの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 父・小野英輔は銀行家に転身する前、ピアニスト。母方は日本銀行界の重鎮・安田善三郎

http://www.youtube.com/watch?v=8f5SbaMMI7U はじめに:「イマジン」のこと アーティストであり、ミュージシャンであり、平和活動家であり、ジョン・レノンのパートナーであったオノ・ヨーコ。21世紀にターンした頃、半世紀も前の彼女の活動が再浮上し、「…

ジミ・ヘンドリックスの「Mind Tree」(2)- 下層階級の黒人教会では、ギターやハーモニカなど<世俗の楽器>が使われていた

下層階級の黒人教会では、ギターなど<世俗の楽器>が使われていた ▶(1)からの続き:ジミは、ドロシー伯母さん(母ルシールの姉)に連れられて行った「神とキリスト教会」で、賛美歌をよく歌いました。別の教会の「ペンテコスタル教会」はジミのお気に入…

チェ・ゲバラの「Mind Tree」(4)- 25歳、2度目の南米の旅こそ、「チェ・ゲバラ」と化す旅となる

▶(3)からの続き:ペルーに入ったエルネストはチチカカ湖畔を抜けて目的地の一つクスコに入りました。クスコはエルネストが少年の頃から夢想してきた古えのインカ帝国が栄えた場所です。そして今では世界遺産となった空中都市マチュピチュに圧倒され、心を…

ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「Mind Tree」(4)- 39歳、厄年のように禍いがふってくる。最初の短編集『八岐の園』の刊行。気がつけば43歳

39歳、厄年のように禍いがふってくる。1カ月、生死の境を彷徨う ▶(3)からの続き:ボルヘスはこの頃、映画も多く観ていました。「スル(「南」の意味)」誌と「エル・オガール」誌に文芸記事だけでなく、映画評(チャップリンやジョン・フォード、スター…

オスカー・ワイルドの「Mind Tree」(2)- 20歳、オックスフォード大学へ。俗物と化した英国貴族との対決

マハフィー教授から美的感覚、会話術、そしてホモセクシャルの世界を教えられる ▶(1)からの続き:ポートラ・ロイヤル・スクールを卒業したオスカーは、兄もいるダブリンにあるトリニティ・コレッジに入学します(奨学金を受ける)。兄ウィリアムは派手な…

ビョークの「Mind Tree」(3)- 18歳の時、「ククル(魔術)」というバンドで、偏狭な精神構造を破壊する

英国のパンク・ムーブメントの刺激を受ける ▶(2)からの続き: 12、3歳の(1977年前後)好奇心旺盛で音楽に高感度な少女が、海の向こうのイギリスを発信地にしたパンク・ムーブメントの大波を受けるのは時間の問題でした。ビョークが髪を短く刈り込んで、…

ジミ・ヘンドリックスの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 祖父・祖母はボードヴィル劇団に所属し、父もダンサーだった

はじめに : ”エレクトリック・ジプシー”の生誕の地 ジミ・ヘンドリックス(Johnny Allen Hendrix:後に父がJames Marshall Hendrixと改名:以降、「ジミ・ヘン」、またはジミと略)は、1942年11月27日に米国で誕生しています。が、では米国のどこで生まれた…

ジャンヌ・モローの「マインド・ツリー(心の樹)」(2)- モンマルトルの娼婦が屯する安ホテルに泊まりつづける。慰めは読書だった

映画『死刑台のエレベーター』より お転婆娘で、蛇を集めて薬剤師に売りつけに行った ▶(1)からの続き:ジャンヌ1歳半の時、父兄弟は店を売りにだしてしまいます。仲違いしてしまったのです。アナトールは家族と一緒に実家のあるマジラに近いヴィシーに戻…

オスカー・ワイルドの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 5歳まで”女の子”として育てられる。そして母のサロンの会話を浴びる

はじめに オスカー・ワイルドとえいば、19世紀末に一輪の花として世界を魅了した華やかな社交界の寵児、「ダンディズム」のイコンとして、また小説『ドリアン・グレイの肖像』や『幸福な王子』『サロメ』の著者として知られますが、彼の数奇な運命の芽は、や…

ジャンヌ・モローの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- 英国ランカシャーからパリやって来た踊り子の母と小さなビストロ経営の父

はじめに ジャンヌ・モローとえば、フランスきっての大女優であり、映画『エヴァの匂い』(J.ロージー)や『死刑台のエレベーター』(ルイ・マル)『突然炎のごとく』(トリュフォー)『女は女である』(ゴダール)など、ヌーヴェルヴァーグ時代の作品がすぐ…

マーク・ボランの「Mind Tree」(3)- パリへの放浪。魔法使いに出会って魔法を伝授されたという話とは?

パリへの放浪。魔法使いに出会って魔法を伝授されたという話とは? ▶(2)からの続き:15歳の時、パリに放浪の旅に出ます。きっかけはナショナル・シアターで知り合った俳優のリッグス・オハラとの会話だったようで、2人は一緒にパリに渡りました。15歳と…

フリーダ・カーロの「Mind Tree」(2)- 父はたえずフリーダの知的好奇心を刺激しつづけた/写真スタジオの蔵書

「棒足フリーダ」とからかわれ、内向的に ▶(1)からの続き:小児麻痺から萎えた右足の機能を回復させるため、父はフリーダに、足を使うように木登りやボート漕ぎ、ボール遊ぶにはじまり、水泳やサッカーだけでなく、ボクシングやレスリングまでいろんなス…

キース・リチャーズの「マインド・ツリー(心の樹)」(2)- 2歳の時から、完璧な音程で歌が歌えた。祖父はダンス・オーケストラでギター等をプレイ

祖父ガスはダンス・オーケストラで、バイオリンやギターを弾いていた ▶(1)からの続き: 祖父のガスこそ、幼いキースの「心の樹」の”根っ子”を太く肥やした人物でした。キース少年にとってロンドンは、祖父ガスのいる場所であり、音楽に満ちた場所でした。…

フリーダ・カーロの「マインド・ツリー(心の樹)」(1)- フリーダは、インディオの女性の「乳」で育った。3歳の時、カーロ家の運命が暗転 

はじめに フリーダ・カーロは、18歳の時、バスの事故で足腰を串刺しにされて以降、47歳で亡くなるまで32回もの手術(主に背骨と右足)をしています。それだけでも大変な人生であるのにフリーダは、病と闘いながら22歳の時にメキシコの大人物で天才的な壁画家…